電脳筆写『 心超臨界 』

変化することは
真の学習がみな到達する最終結果である
( レオ・ブスカーリア )

子どものようなみずみずしい好奇心を死ぬまで失わなかった――寺田寅彦

2024-03-31 | 03-自己・信念・努力
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 彼らの第4コーナー「寺田寅彦
  [1] 大病後、三足のわらじで歩む
  [2] 3人目の妻との葛藤
  [3] 「歩き方」教えた名伯楽
  [4] 不思議魂の源泉


大正8年(1919年)、彼は胃潰瘍(かいよう)で吐血し入院した。何にでも「不思議の目」を向ける彼の不思議な点は、吐血した41歳から死を迎えるまでの16年間に、学術論文や随筆、俳句、映画評など多方面に深い知の足跡をたくさん残したことだ。


寺田寅彦 [1]――大病後、三足のわらじで歩む
【「彼らの第4コーナー」09.04.05日経新聞(朝刊)】

《眼は、いつでも思った時にすぐ閉じることができるようにできている。しかし、耳のほうは、自分では自分を閉じることができないようにできている。なぜだろう。》

科学者、寺田寅彦が大正10年(1921年)、俳句雑誌『渋柿』の巻頭に書いた文章である。その2年前、彼は胃潰瘍(かいよう)で吐血し入院した。何にでも「不思議の目」を向ける彼の不思議な点は、吐血した41歳から死を迎えるまでの16年間に、学術論文や随筆、俳句、映画評など多方面に深い知の足跡をたくさん残したことだ。

論文を拾い出してみよう。関東大震災の焼け跡を歩き回って「旋風について」書いたと思えば、「砂の崩壊」や「気圧と海水面」「硝子(がらす)板の割れ目」「椿(つばき)の花の落ち方」「墨流し現象」などへと興味のおもむくままに研究対象を広げている感じだ。英国の『ネイチャー』など外国雑誌に掲載された外国語の論文の数でも、日本の科学者の中ではずばぬけていた。

随筆は、吐血の翌年から「吉村冬彦」名で書きまくる。「厄年とetc.」では、厄年前後の病気の体験などに触れながら「過去の一切を現在の鍋に打ち込んで煮詰め、未来の足場を建ててみよう」と決意表明する。ほかに「茶碗(ちゃわん)の湯」や、「デパートの夏の午後」「女の顔」「鉛をかじる虫」「藤の実」「ジャーナリズム雑感」「鳶(とび)と油揚」「破片」「天災と国防」「西鶴と科学」といった作品で、不思議と思う世界に縦横無尽に切り込んでいるのである。

『寺田寅彦覚書』や『寺田寅彦 妻たちの歳月』などの著書がある元共同通信記者、山田一郎さん(89)は足跡を眺めながら「科学者、文学者、文明批評家。三足のわらじを履く人だった」と話す。現代のように、人間一人の仕事が専門化し、守備範囲が狭くなる風潮の中では、考えられない生き方だ。

その上、子どものようなみずみずしい好奇心を死ぬまで失わなかった――寅彦の長男で学習院高等科(現在の大学)教授だった寺田東一(故人)は著書『父・寺田寅彦』の中で証言している。

大病に襲われ肉体はむしばまれても、「なぜ?」と問いかける心は衰えない。源泉が一体どこにあったのか。次回以降で探りたい。

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寺田寅彦(てらだ・とらひこ)
1878―1935年。科学者。東京・平河町に生まれ、満2歳か
ら17歳まで父親の郷里、高知で過ごす。熊本の第五高等学校で夏
目漱石に英語と俳句を、田丸卓郎に数学と物理を学んだ。東京帝国
大学物理学科入学。09―11年ドイツに留学。16年東京帝大教
授に就任。19年胃潰瘍で入院。57歳で移転性骨腫瘍(しゅよう)
のため死亡。
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(特別編集委員・足立則夫)
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